娘がまだ小学生の頃、
青と白の糸のミサンガを、私につくってくれた。
「これを腕につけていて、切れたら願いが叶うんだよ」
と言って渡してくれたが、幼い子供がつくったものなので、
長さが短く、とても腕には巻けなかった。
しかし滅多にそういうことをしない娘がつくってくれたので、
全然つけないワケにもいかず、
とりあえず、クルマのキーホルダーと一緒につけていた。
ちょうどその頃、私はクルマの運転がうまくなりたくて、
かなりストイックな練習を開始していた。
なので「この糸が切れる頃にはうまくなりたいな」と思っていた。
それからというもの、あるときは一人で、あるときは友人と、
晴れの日も雨の日も、山道を走ったり、ミニサーキットを走ったり、
気がつけば、8年が過ぎていた。
そして昨年、そのミサンガがついに切れた!
クルマの運転は?というと、
私の師匠でもある友人レベルにはほど遠いが、
最初の頃から比べると、だいぶ進歩があった。
それはヘタクソな私を、気長に教えてくれた友人のおかげで、
諦めずに少しずつ続けていけたからかも知れない。
このブログタイトルの「スロー広告」と同じで、
私は「“ゆっくり”と速くなった」のだ。
とかく社会は、子供たちに早く結果を出すことを求めてしまう。
私もそれまでは、娘に対して知らず知らずのうちに
それを求めていたように思う。
しかし、あの友人とのドラテク訓練のおかげで、
そのときの娘の立場を、
自分でもリアルタイムで経験することができたのだ。
「スロー教育」は、何もしないでゆっくり見守っているのとは違う、
“何もしていない”ようで、
その人に対して、様々な思いをめぐらせて考え、
あたかも自分でそれを選んだかのように
優しく導いていくものだと思う。
私も多くの人によって導かれ、
ゆっくりとデザイナーになっていったように...
さて、見事ミサンガが切れてドラテク向上の跡も見られた私は、
広告代理店の方の餞別を買うついでに、
いつも行くカッシーナ・イクスシーで、
クルマ用の新しいキーホルダーを買った。
(家用のカギは娘からもらったダサダサキーホルダーなので...)
10年前のクルマで、高級車でもないのに、
ちょっとキーホルダーの価格が高く、
見た目もつり合わない感じだけど、
まァ、そこは個人のキブンの問題だから、
ささやかなご褒美?ということで...
買って帰って家族に見せたら、
「高っ!!」と一言。(-.-;)
そして今回、ミサンガをブログに取り上げるので、
娘にあのときの話を聞いてみたら、
「あ〜、あれね、あれは余った糸でつくったから短くなったんよ」
ということだった...orz
私の「スロー教育」は間違っていたのだろうか?...(ToT)