私が初めてケータイを持ったのは、
12年前にシゴトで独立したときだった。
私が何かを買うときの基準は、
どちらかといえば性能よりも見た目を優先するクセがある。
それは、ブランド重視というワケではなく、
どんなに安っぽいモノでもカタチが気に入れば、
自信を持って購入し、人目を気にせずに充分満足できるからだ。
当時、初めて選ぶケータイだったのに、
もう迷うことなくソレに決めた。
それは、“折りたたみ式”のドコモN206Sだった。
それまで、勤めていたプロダクションで、
ケータイの広告をやっていたので、様々なカタチを見てきたが、
“折りたたむケータイ”は、確かそれまではなく初めてだったのだ。
ひざを打ち、すぐに大型電気店に買いに行った。
しかし、買ってから、いろんな人に見せると
反応はイマイチだった...
それは本体が二つ折りになることにより、
かさばって重たかったことと、
電話が鳴っても、いちいち開かないと
誰からかかったか分らないし、
取れないことが不評の原因だった。
現在のようにiモードもなければカメラもない、
もちろん画面も小さく、そのためムダにスペースが余っている。
本当に、ただのケータイ機能のみしかなかった。
(今思うとある意味、潔い!ケド...)
他に付加価値のある機能がない上に、
わざわざ“二つ折り”という余計な機能がついている(笑)。
もうそれは、デザイン頼みのケータイだった...(^_^;)
(今思うとある意味、潔い!ケド...)
他に付加価値のある機能がない上に、
わざわざ“二つ折り”という余計な機能がついている(笑)。
もうそれは、デザイン頼みのケータイだった...(^_^;)
だから当時、同じ機種を持っている人に
あまり出会うことはなかったが、
時々、街中で私がケータイを“開いて”使っていると、
同じN206Sを使っている人が、
こちらを見て、何かお互いに「オマエもか...(^_-)」と
意識していたぐらいマイノリティだった(笑)。
きっと「開いて取る」という行為が、
「ケータイを使う」という特別なことにつながっていたのだ。
(何せ、初めてのケータイなので...)
その後、iモードの登場により、様々な機能がついて、
オシャレなデザインとともに現在では主流製品となった。
ときに人は、「何でわざわざそんなことを...」みたいな
ムダなモノを選ぶことがある。
クルマにしても、大きくても
たった二人しか乗れないスポーツカーがあったりするし...
今回の折りたたみ式ケータイはクルマでいうと、
'80年代に流行ったリトラクタブルヘッドライトの機能に
近いものがあるかも知れない。
昔、私はリトラクタブルヘッドライトの
セリカXXに乗っていたが、
やはり、昼間にライトでパッシングするとき、
いちいち、ガチャっとボディからライトがせり上がってきて
ピカピカと光らせるのがとっても好きだった...(^ ^)
今では、合理的に部品点数を減らして軽量化し、
前輪よりも前に重量物を置かないことで
運動性能を上げるのが基本になってきたので、
リトラクタブルヘッドライトは絶滅してしまった。
でも、もしまたリトラクタブルヘッドライトが出れば、
私は、きっと買うに違いない...のに。
最近は、何でもマーケティングで、
円グラフの“幅の広いところ”ばかりを重要視して
失敗しない製品づくりを目指しているけど、
果たしてそれが全てうまくいっているのか
甚だ疑問ではあるが、
本当は円グラフの“一番狭いところ”の
「その他」で括られる部分に、
この次ブレークする要素が、幾つか含まれていると思う。
それは、様々なマイノリティな要素に混じっているので、
見つけるのは大変かもしれない。
しかもソレ単体では、売り物にならないことが多い。
折りたたみ式がブレークしたのも、
その後、ケータイがメールやカメラ、
様々な機能を複合させたからだ。
そして、ソレを見つけることができるのは、
紛れもなく“数値”ではなく、
独りよがりにならない研ぎすまされた“感性”が
カギを握っていると思う。
ブレークしてから長く続く人気商品は、
ブレークする遥か前から、意外なところにある。
ときに、ムダだと切り捨てられる部分に...
ときに、「その他」で括られるグラフの中に...
ときに、何気ない私たちの狭い日々の生活の中に...
“ソレ”は息をひそめて、誰かが気づくのをずっと静かに待っているのだ。
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