2010年2月11日木曜日

ムダなキノウ?



私が初めてケータイを持ったのは、
12年前にシゴトで独立したときだった。


私が何かを買うときの基準は、
どちらかといえば性能よりも見た目を優先するクセがある。


それは、ブランド重視というワケではなく、
どんなに安っぽいモノでもカタチが気に入れば、
自信を持って購入し、人目を気にせずに充分満足できるからだ。


当時、初めて選ぶケータイだったのに、
もう迷うことなくソレに決めた。

それは、“折りたたみ式”のドコモN206Sだった。


それまで、勤めていたプロダクションで、
ケータイの広告をやっていたので、様々なカタチを見てきたが、
“折りたたむケータイ”は、確かそれまではなく初めてだったのだ。



もうカタログを見た瞬間に「コレしかない!」と
ひざを打ち、すぐに大型電気店に買いに行った。


しかし、買ってから、いろんな人に見せると
反応はイマイチだった...


それは本体が二つ折りになることにより、
かさばって重たかったことと、
電話が鳴っても、いちいち開かないと
誰からかかったか分らないし、
取れないことが不評の原因だった。


現在のようにiモードもなければカメラもない、
もちろん画面も小さく、そのためムダにスペースが余っている。
本当に、ただのケータイ機能のみしかなかった。
(今思うとある意味、潔い!ケド...)
他に付加価値のある機能がない上に、
わざわざ“二つ折り”という余計な機能がついている(笑)。


もうそれは、デザイン頼みのケータイだった...(^_^;)



だから当時、同じ機種を持っている人に
あまり出会うことはなかったが、
時々、街中で私がケータイを“開いて”使っていると、
同じN206Sを使っている人が、
こちらを見て、何かお互いに「オマエもか...(^_-)」と
意識していたぐらいマイノリティだった(笑)。

きっと「開いて取る」という行為が、
「ケータイを使う」という特別なことにつながっていたのだ。
(何せ、初めてのケータイなので...)


その後、iモードの登場により、様々な機能がついて、
オシャレなデザインとともに現在では主流製品となった。


ときに人は、「何でわざわざそんなことを...」みたいな
ムダなモノを選ぶことがある。


クルマにしても、大きくても
たった二人しか乗れないスポーツカーがあったりするし...


今回の折りたたみ式ケータイはクルマでいうと、
'80年代に流行ったリトラクタブルヘッドライトの機能に
近いものがあるかも知れない。

昔、私はリトラクタブルヘッドライトの
セリカXXに乗っていたが、
やはり、昼間にライトでパッシングするとき、
いちいち、ガチャっとボディからライトがせり上がってきて
ピカピカと光らせるのがとっても好きだった...(^ ^)

今では、合理的に部品点数を減らして軽量化し、
前輪よりも前に重量物を置かないことで
運動性能を上げるのが基本になってきたので、
リトラクタブルヘッドライトは絶滅してしまった。

でも、もしまたリトラクタブルヘッドライトが出れば、
私は、きっと買うに違いない...のに。


最近は、何でもマーケティングで、
円グラフの“幅の広いところ”ばかりを重要視して
失敗しない製品づくりを目指しているけど、
果たしてそれが全てうまくいっているのか
甚だ疑問ではあるが、

本当は円グラフの“一番狭いところ”の
「その他」で括られる部分に、
この次ブレークする要素が、幾つか含まれていると思う。


それは、様々なマイノリティな要素に混じっているので、
見つけるのは大変かもしれない。


しかもソレ単体では、売り物にならないことが多い。
折りたたみ式がブレークしたのも、
その後、ケータイがメールやカメラ、
様々な機能を複合させたからだ。


そして、ソレを見つけることができるのは、
紛れもなく“数値”ではなく、
独りよがりにならない研ぎすまされた“感性”が
カギを握っていると思う。


ブレークしてから長く続く人気商品は、
ブレークする遥か前から、意外なところにある。

ときに、ムダだと切り捨てられる部分に...

ときに、「その他」で括られるグラフの中に...

ときに、何気ない私たちの狭い日々の生活の中に...


“ソレ”は息をひそめて、誰かが気づくのをずっと静かに待っているのだ。



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